日進月歩な仮想化日記

~日々進化する仮想化業界のトレンド発信基地を目指して~

Tanzu Community Editionについて

今回はTanzu Community Editionについてまとめたいと思います。

 

Tanzu Community Edition (TCE)とは、Tanzu Kubernetes Grid (TKG)の無償版のTanzu製品となります。

TKGと同等のソフトウェアを使用しており、TCEの方がアップストリーム版にあたります。

つまり、TCEはTKGやKubernetesの勉強や、トレンドのキャッチアップなどに利用できる製品と考えられます。

 

また、TKGと同様にマルチクラウドに対応しており、Amazon EC2Microsoft AzureなどにKubernetesをプロビジョニングすることが可能です。

 

Endpoint IPアドレスを管理するためのプロバイダとしては、Kube-vipかNSX Advanced Load Balancer(NSX ALB)が選択可能となっています。

 

TCEで作成されたKubenetesクラスタのノードはTKGと同様に仮想マシンとして作成されるので、vSphere上で管理しやすい仕組みになっています。

 

TKGの導入はハードルが高いという場合でも、TCEを利用して事前に検証が行えるので構築や運用の課題を洗い出すには最適なソリューションといえるかもしれませんね。

vSphere7.0での変更点

先日vSphere7.0の変更点がいくつか発表されました。

今回はその内容をまとめてお伝えしたいと思います。

 

■ブートデバイスの要件変更

将来的にUSB/BDはサポート外になるそうです。

docs.vmware.com

次にリプレースする際には気を付けないといけないですね。

 

■vSphere Cluster Services (vCLS)

vSphere 7.0U1からvCLSというVMが登場しましたが、これによりvSphere DRSがvCenterに依存しないものとなるようです。

※DRSを無効にしていても、ESXiをクラスタに追加すると自動作成されるのでHWのリソース管理には注意が必要になります。

 

■vSANクラスタのシャットダウン簡易化

これまでは、vSANクラスタをシャットダウンする際には面倒な手順が必要でしたが、今後クラスタのメニューからワンクリックでシャットダウンできるようになるようです。

vSANは運用が中々難しいものがありましたが、今後簡単になってくれるといいですね。

VMworld 2021④

前回に引き続きVMworld2021で発表された内容となります。

VMworld関連は今日でひとまず最後になるかな。

Anywhere Workspace + Edge

VMware Cross-Cloud Services」という戦略における5つの機能のうちの1つ。

Anywhere Workspaceというコンセプトは今回初めて出たものではなく、2021年4月に発表されたものです。

Workspace ONE、Carbon Black、VMware SASE (Secure Access、Cloud Web Security、VMware SD-WANを包含) の3つのプロダクトで構成されるコンセプトで、リモートや在宅などの推進により多種多様になった環境からのアクセスに対して、セキュリティを担保しつつ柔軟性を持たせた業務環境を提供するものとなります。

Anywhere_Workspace.png

エンドポイントからのアクセスをコントロールするAnywhere Workspaceに、拠点(小売、製造など)からのアクセスに対してもEdgeというコンセプトを加えることで、エンドポイントからのアクセスだけでなく各拠点 (Edge サイト) からのアクセスも一元的に統合された管理を提供することを目的としているのかなと考えられます。

この機能の説明において、ポイントとなるのは以下の2つです。

  • VMware SASE の機能拡張
  • VMware Edge Compute Stack の発表
VMware SASE の機能拡張

今回発表されたのは2つの機能を追加するということでした。

対象となるのは「Cloud Access Security Broker (CASB)」と「Data Loss Prevention (DLP)」の2つです。

この2つの機能が追加されることによって、より強固でより柔軟なセキュリティポリシーを実現することが可能となるとのことです。

VMware Edge Compute Stack の発表

これは、主に小売や製造など多くの複数拠点を持つような業態において利用ケースが多くなりそうな各拠点に配備するためのアプライアンスです。

今回、このVMware Edge Compute Stack 対応予定ハードウェアとしてDell EMC VxRail Dシリーズ や Lenovo ThinkSystem SE350 が発表されていました。

各拠点に設置したHCIアプライアンス上にVMware Edge Compute Stack をアプライアンス的に構成することでVMware SD-WANの機能などが有効になり、拠点間SD-WAN接続であったりVMware SASEに対してのSD-WAN接続などが可能になります。

VMware-Edge-Portfolio.png

ジェネラルセッションの中でも、自宅からリモートで仕事をしているような環境においてはそれぞれの自宅そのものがEdgeというとらえ方もできると話していました。

インフラセキュリティの境界線をEdgeととらえることでこれからのセキュリティの在り方やユーザーエクスペリエンスの向上を考えていけるという期待を感じました。

VMworld 2021③

前回に引き続きVMworld2021で発表された内容となります。

Cloud Infrastructure

VMware Cross-Cloud Services」という戦略における5つの機能のうちの1つ。

この機能についてのポイントは以下の2つです

  • NSX Advanced Security の機能がVMware Cloud に統合
  • Project Arctic
NSX Advanced Security の機能がVMware Cloud に統合

これは、NSX保有している各種強力なセキュリティ機能がVMware Cloud上でも利用可能になるという内容になります。

VMC上においても、NSXによる分散ファイアウォールや分散IDS/IPS機能などのような高度なセキュリティ機能を用いてユーザーのワークロードをセキュアに保護することが可能になります。

Project Arcitic

Generalセッションではあまり深く語られなかったProject Arciticですが、調べてみたところ以下のような概要のようです。

ProjectArctic.png

オンプレのvSphere環境をクラウド上のコントロールプレーンから管理できるように見えますが、どうやらまだTechnical Preview という扱いになっており、本格的に利用できるようになるのはまだ先のようです。

これまで個別に管理するしかなかった、複数のオンプレvSphere環境をクラウド上から一括で管理できるようになるのは大変助かりますね。

これは是非実現してほしい機能だと思います。

 

VMworld 2021②

前回に引き続きVMworld2021で発表された内容を書いていきたいと思います。

App Platform

前回紹介したVMware Cross-Cloud Services」という戦略における5つの機能のうちの1つ。

発表の中で特出すべきと感じたのは以下の2点でした。

  • Tanzu Application Platform *β フェーズ2 の開始
  • Tanzu Community Edition の提供開始
Tanzu Application Platform

アプリケーション開発者がインフラを意識せずに、コードからイメージの生成やスキャンなどを自動的に行ってくれる開発プラットフォームを提供してくれるものとなります。

現在、βプログラムが進められており、今回はβプログラムのフェーズ2が開始されたということが発表されました。

Tanzu Community Edition の提供開始

これは、現在提供されているTanzu Kubernetes Grid (TKG)の無償版のTanzu製品となります。

これまでは、Kubernetesに興味があってちょっと試してみたいという場合も有償版を購入する必要がありハードルが高かったのですが、無償版が提供開始されたことにより、気軽に試すことが可能となったので、Kubernetes導入のハードルも下がると期待されます。

Kubernetesについて学ぼうにもなかなか難しかったかもしれないですが、Tanzu Community Editionを使ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

VMworld 2021①

去年に引き続きオンラインでの開催でしたが今年もVMworldが開催されました。

 

今年も様々な発表がありましたので内容をまとめていきたいと思います。

VMworld 2021 General Session

今年のVMworldでは新たにCEOを引き継いだRaghu Raghuram (ラグー・ラグラム) 氏によるGeneral Sessionから開始しました。

Raghu_Raghuram.png

その中で、VMwareがこれから担っていく役割について、以下のように語っていました。

まず、2000年代のチャプター1では仮想化市場のリーダーとして、さらにその後のチャプター2ではプライベートクラウドにおけるリーダーとしての役割を担ってきたと語り、

現在、そしてこれからはマルチクラウド環境におけるリーダーといての役割を担うチャプター3を迎える時代になると語っています。

NextChapter_for_VMware.png

「マルチクラウド」という今年のVMworldにおける大きなテーマを掲げたうえで、さらに様々な発表がされました。

 

まず、マルチクラウドを実現するための戦略として「VMware Cross-Cloud Services」が発表されました。

これはVMwareによって統合された様々なサービス群を表しており、柔軟性とセキュリティを備えたアプリケーションを様々なクラウド上で実行するための機能をユーザーに提供していくという戦略となります。

Cross-Cloud_Services.png

この「VMware Cross-Cloud Services」に含まれる5つの機能については以下の通りとなります。

  • App Platform
    迅速にアプリケーションを生み出すためのTanzuファミリーを中心としたKubernetesプラットフォーム
  • Cloud Infrastructure
    VMware Cloud や 従来オンプレミスvSphereなどアプリケーションが実行されるインフラストラクチャ
  • Cloud Management
    マルチクラウド利用時のコスト管理やセキュリティを統合管理するためのサービス
  • Security + Networking
    NSXやサービスメッシュなどデータセンターネットワークにおけるセキュリティを高めるための製品群
  • Anywhere Workspace + Edge
    Workspace ONE / Carbon Black / VMware SASEによる "分散された" 従業員職場環境からのアクセス

上記についての詳細は次回にしたいと思いますが、「VMware Cross-Cloud Services」という戦略はとても興味深いものでした。

これからもVMwareには注目ですね。